『大手民放ラジオのネット放送』

2010-03-17
3月15日よりAM、FM、短波の大手民放13社が、ネットでのサイマル(同時)放送を首都圏および大阪府の利用者に向けて試験的に開始しました。これは、ラジオで流れる同じものが、「RADIKO(ラジコ)」のウェブサイトにアクセスすることで、インターネットでも聴けるプロジェクト。地上波から数秒の遅れはあるため、時報やスポーツ中継などは当面別の番組などに差し替えられるようですが、とにもかくにもラジオ業界は大きな一歩を踏み出しました。今やテレビ並に人々の生活に溶け込んでいるインターネットでの放送は、近年増えつつある都市部でのラジオの受信障害も解消できることもあり、大きな盛り上がりを見せてくれるのではないでしょうか。

ラジオの聴衆環境の
飛躍的アップを期待

今回のプロジェクトを推進する広告代理店のメディアプランナー、原さんは「今や都市部のオフィスで働く人の数は数千万人にものぼります。まずはそんな方々が、ちょっとした合間にネットでラジオを聴いて頂ければ。またPCはもっているが、ラジオを所有していない方でも楽しめるなど、聴取環境が飛躍的に増えるのはラジオ業界にとって大きな進展です」とのこと。その中で、ラジオの筐体そのものの衰退が危惧される声もありますが、「ラジオはトークや音楽をただ流しているだけではなく、編成による編集がされている情報ツール。視覚でも楽しむテレビよりも音に特化したメディアであることは確かです。マルチタスクであるPCはたしかに便利ですが、音声リテラシーの高い人々は、よりリッチな環境を求めて、高性能スピーカーなどの外部入力機器に興味をもって頂けるのではないでしょうか。それこそ音質の高いチボリオーディオなどをPCに繋げれば、クリアな受信環境でラジオが楽しめるはず」と原さんもその広がりに大きな期待を寄せています。

どこにいても好きな
FMが聴けるメリット

さらに、これまで自分の居住、勤務する区域でしか聴けなかったFMも、現在は限られた地域でのトライアルなネット配信が本格化すれば、日本全国のコミュニティ放送がどこでも聴けるという利点もあります。都市部の大手番組に人気が集中してしまう可能性もありますが、逆を言えば、マイナーな番組が日の目を浴びるチャンス。「サイマル放送が今後一般化すれば、都市部の人々が独自のコンテンツをもったローカル番組に興味をもつことも。そうなれば、地方系列局が大きく飛躍する可能性は高い」とは原さんの弁。確かに最近は、テレビでもローカル番組が局地的な人気を買われて民放にデビューすることも少なくありません。まだまだクリアにしていく問題はありそうですが、ユーザーにとっては、コンテンツの競争が業界を盛り上げてくれることを期待したいですね。

文・小澤匡行

『RADIKO』 http://radiko.jp/